9日佐久水道企業団の大会議室で、商工生活環境委員会と市町村長との意見交換会が開催され、地元議員として参加した。この佐久で「信州廃棄物の発生抑制と良好な環境の確保に関する条例(仮称)要綱案」についての意見交換会が終了されるとのことであった。お疲れさんでした。
意見交換会での各市町村の意見は、すでに他会場の結果が報道されたように概ね同様の内容であった。当然な結果であろうと思う。この条例の意図していることが何であるか、「脱ダム宣言」の過程と似ているように思えてならない。
軽井沢町長が広域化でのごみ処理を強調されていた。また塚田委員長が過去に県の関与で施設ができなくなった例はないか。との質問が各市町村長に向けられていた。二つに関連した体験があるので敢えて報告に加えておきたい。
県ごみ広域化計画の背景
私は6月定例会の一般質問で「ごみの広域化問題」を取り上げた。全部を説明すると長くなるので概略を述べてみたい。県は国の通達等に基づき平成11年に「長野県ごみ処理広域化計画」を策定した。ここでは20年後に県下10ブロック13施設にごみ処理施設を集約することを目指し、各広域連合(当時は一部事務組合)ごとに計画を立て、それらに向けて既存の焼却施設等は修繕を加えながら、目標年度まで持たせていくということであった。その後平成14年に容器リサイクル法など国の法改正もあり、廃棄物の排出を抑制し循環資源として活用を図るとして、「循環型社会」を目指そうと、「長野県廃棄物処理計画」が策定された。現在もそれらの計画は生きており存続していることとなっている。
今まででも県の関与はあった
私が南佐久環境衛生組合議会議長のとき、その広域化計画に沿って建設が進められていた佐久地域の施設計画に合わせ、南佐久でその計画年度(平成24年度)まで持たせるための処理施設の計画が、ほぼまとまり建設の一歩前まで来た。昨日の八千穂村長の発言の中にも触れられていたが、施設に直接関係ないと思われる地域の皆さんの反対で施設建設が頓挫してしまった。その頓挫する前に組合議会全員で、県廃棄物対策課と意見交換をした。私は「国がこの計画を認め、反対している地域の同意は要らないといっているのに、なぜ県は同意を必要とするのか」と声を大にして当時の課長に回答を求めた。にもかかわらず県はどうしても必要である、の一点張りであった。ここに至るまで組合職員は、県廃棄物対策課と何回となくすり合わせしてきており、その指示に従い計画を進めてきていたが、最終的に何の努力も報われなかった。何年も組合理事者会を開催し、組合議会を重ねてきた。その挙句は広域化のごみ処理施設計画も宙に浮いたまま、南佐久はやむを得ずそれぞれの町村で最低限度基準にクリアできる施設の設置で急場をしのいでいる。それでもあわせれば数億円かけてしまっている。
県は広域化計画の決着を
問題はいくつもあるが、まず県が進めてきたこの「広域化計画」が時代にマッチしないのなら早急に変更作業に入り、市町村にその後の計画を示すべきである。これは市町村の固有事務といいながらも、信頼関係のある県の指導に従いたい。という考えを持っているからである。この事例でお分かりと思うが、信頼関係の希薄な現在、条例で「県と施設計画の協議」、「50人以上の連署を持って計画の見直しを知事に請求できる」と明記されれば、施設計画はまず不可能となるし、条例の信頼性は最初からないに等しい。その場合どんなに発生抑制しても毎日出るごみの処理をどうするのか。その考えを全く示されていないのではないか。
商工生活環境委員会と私の地元である市町村長との意見交換会で、意見交換の内容は納得しながら、その事例の体験があっただけに、発言できないもどかしさと、それでも進めようとしている県の姿勢に不快感を持ちながら席を汚していた。太田生活環境部長は八千穂村を皮切りに県下の焼却施設等を現地調査をしたと聞いているが、県は何を地域から求められ、何をしなければならないのか、現実を見てどう判断されたのだろうか。これからの太田部長の政策手腕が楽しみであるし期待したい。