現在位置:ホーム»としみつTime'sトップ»記事別ページ

あらためて「信州型事業仕分け」を考える

 9日 5日のこのブログ(トシミツタイムズ)で信州型事業仕分けについて掲載したが、その際県議の皆さんのブログに掲載がないと紹介したが、改めて県議のホームページを見させていただいたら、取り上げていただいていた。それぞれ事業仕分けのあり方について疑問を述べておられ、関心を持たれていたことは感謝したい。無礼な記載文に対してはお詫びを申しあげたい。突っ込みの足りない部分は9月定例会以降の県議の皆さんのご活動に期待したい。

 3日間行われた「信州型事業仕分け」の結果は、50事業の中で4事業は細かく分けて判定したため判定件数は計55件だったという。「抜本的見直し」4件のほか、32件で事業の手法や内容の一部見直しを迫る「要改善」と判定する一方、18件を「現行通り・拡充」とし、「不要」の判定はなかった。(信毎から引用)「県民判定人」は短時間で判断は難しかったとコメントされていた。いくつか取り上げてみたいが、私がかつて委員会で取り上げた問題で、防災ヘリ事故防止に関わる面から「防災ヘリ維持管理費(1億1172万円余)」に関連して安全対策と、山岳登山事故の減少に向けた対策について取り上げたことがある。今回の事業仕分けにおいて「山岳遭難防止対策協会(遭対協)負担金(人件費含め昨年度決算額3888万円)」が仕分け対象となり、「要改善」の判定が下された。この例を中心に考えてみたい。

 事業仕分けでは、「遭対協をめぐっては、遭難者の約8割を県外者が占める中、夏山期の常駐パトロール隊や登山口への相談員の設置などの活動を県負担金で賄っている現状が議論に。県側は安全対策の充実が観光面にも貢献していると説明。仕分け人側は登山者の「自己責任」を問い、入山税や保険加入の義務付けなどを検討するよう提案した。無作為抽出で選ばれた県民判定人による多数決の判定も「要改善」となった。」(信毎から引用)

 私はこれらの防災ヘリのあり方、遭対協の出動範囲と安全対策、登山者の自己責任の追及、条例により登山者の入山税などによる登山規制、強制的に山岳保険の義務付け、それに伴う長野県観光との関連等々、登山者の入山規制なるものを考えれば遭難事故も減り、防災ヘリや遭対協の出動も減り、県の財政的出費も減少するだろうとの思いで、あらゆる角度から委員会質疑に向けて調査してみた。調査すればするほど、防災ヘリや遭対協の任務と県の関わりの重要性に加え、規制の法的障害と言うか難しさが露呈してきた。おのずと質問内容も後退でなく仕切り直しもしなければならなくなった。

 例を挙げてみれば、長野県でも2004年、当時の田中康夫知事が、県のヘリによる山岳救助の有償化を打ち出したが、国土交通省東京航空局によると、自治体が防災ヘリの運航費用を遭難者に求める場合、民間と同様、航空法による航空運送事業の許可が必要となる。更に航空法に基づいて事業化する場合、操縦士や技術者の増員が必要となることが分かり断念した経緯がある。遭難を目撃した第三者が救助のため、善意に防災ヘリを依頼した場合でも、遭難者が「自分はヘリを呼んでいない」と急に支払いを拒んだ場合、通報した第三者にも請求できるかなどの課題も考えられる。

 山岳保険の実用化についても考えてみたが、いくつもハードルを越えなければならない状況である。救助費用の請求が当たり前になれば、山岳保険への加入が飛躍的に増加するが、そのことによって登山者の質が向上するとは考えにくい。例えが悪いが、車の任意保険を考えてみても、ほとんどのドライバーは任意保険に入っているが、保険に入っているドライバーが皆、しっかりしているなんてことはあり得ない。飲酒運転やスピード狂(私自身余り声を大にして言えないが)など、交通事故を繰り返す人も、みんな任意保険に入っているが交通事故は一向に減らない。

 長々と例を挙げてみたが、防災ヘリ運行費用の減額対策一つとっても、言い訳でなく現実な問題をクリアしなければ、新たな対策を講じることはできない。問題の本質を掘り下げ、単なる長野県だけの問題として捉えるのでなく、国として統一的な見解を示していく必要がある。その上で法的規制が必要となれば、国の責任で法の整備を進めるべきであろう。このように質問の準備をしていく中で、様々な事案にぶつかったものである。「事業仕分け」と格好付けて、わずかな時間の中で行政事業や経費の見直しを判定することが如何に難しいか、私は委員会質疑の準備の中で同様な味わいをしている。

 だからこそ、県議の役割として次なる対策を、県理事者、職員の皆さんと知恵を絞って事業の見直しを図っていくことによって、行財政改革が成し遂げられていくものと思う。県民受けするパホーマンス的手法では抜本的に改革はできない。事業仕分けによって県民に行政参加と県行政に理解を深めてもらいたい、とするのであれば他に手法はいくらでも方法がある。県議と理事者との手柄争いではないのだ。阿部知事もボツボツ行政運営テクニックを自ら改め、県議も「信州型事業仕分け」の疑問を、もっと表にさらけ出し議論をぶつけ合うことが求められているのではないだろうか。
長々と述べてしまったが、「信州型事業仕分け」の本格実施を振り返り、県議会の中で議員の役割として「事業仕分け」がなされることを望むものである。