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いじめ対策」は対処法では無理がある

 ××年〇月〇日 T少年が中学1年生の秋のことだった。秋の収穫が終わった田んぼに一人の少年を囲んで10数人が周りを囲むように立ち異様な情況をかもし出していた。その内に周囲の一人が押し出されT少年と相対の殴り合いが始まった。T少年は目の前の一人と戦いながら、周囲の集団にも目を配りながら必至だった。どのくらい時間がたったか分からないが、大勢を相手に当然T少年は大敗した。着ていた学生服は汚れてしまったが、少しでも親に気づかれないようにと、汚れを取りながら悔しさ一杯で泣きながら家に帰った。家に帰っても親に報告すれば、なおさら怒られるのでそっとしていたが、さすが汚れた服だけは隠すことはできない。母親に直ぐに見つかってしまい、事情だけ話し父親には黙っていてもらうようお願いした。

 普段からそりの合わない仲間ではなかった友人たちに、集団で暴行された理由が分からなかった。次の日、気持ちのおさまらないT少年は、暴行に参加した全員を相手にできなかったが、相対で殴りあった隣のクラスだったI・S少年の教室に行き、理由を質しにいったが応えなかったので、そこで一発鉄拳をくわせた後、教室の机と椅子をすべて横倒しにして帰ってきた。その内に先生に知られる前に複数の女子生徒が騒ぎ始めたのだ。T少年に集団暴行した主犯格のI・A少年や関わった仲間に抗議をしていた。抗議は本当に半端でなく鋭かった。

 後でわかったが、T少年はそこそこ成績は良く、女子生徒からも信頼を受けていた。そのことが、面白くなくいわゆる「妬み」が原因で集団暴行になったと後で聞かされた。卑劣な行為を女子生徒から執拗に責められ、ついに主犯格のI・S少年はT少年に謝罪をすることによって、この集団暴行は一件落着となった。この間先生は一切関与していなかった。子どもたちだけで解決できたのである。女子生徒や周りの同級生が知っていても、われ関せずと知らない振りをするなど、時間的に間があけば「いじめ」は続き、それぞれの少年は大きく変った人生を歩むことになったと思う。(暴行集団の面々とT少年は現在よき友でいることを付け加えておきたい)

 何故、短時間で解決できたのか。良いことと悪いことのけじめを、普段から教えられており、みんなが共有することで正義感が自然に体にうえつけられていたのだ。そして、事の善悪などの倫理を女子生徒が行ったように、即ことばと行動で実践したことが早期解決に結びついたものと思う。道徳を教える先生との信頼関係があるからこそ、素直に道徳が身につき自然に行動に出たものであろう。誌面の都合でT少年のいきさつは、これだけでは分かりにくい面があると思うが、このくらいで留めておこう。

 現在のように教師や親と友達のように接することは決して悪いことではないが、やはり「敬うこと」「怖いこと」など最小限度の礼法を道徳により教え、敬慕・威厳の距離感、節度を持たせることが必要ではないか。「いじめ対策」は対処法でなく、その根源を直視し、自ら判断あるいは友人間で処理できるだけの倫理を、信頼ある教師によって徹底的に教え込むことから始めるべきではないか。時間はかかるが場当たり的な対処法では決して解決できないと思う。