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ファッシズム的驚異ですら覚える橋下市長

 22日 大阪市立桜宮高校の教師による体罰問題から起因した来年度の入試問題、大阪市教育委員会の決定は納得できるものではない。体罰が要因で自殺されたとされている生徒の死は、現実の問題として真摯に向き合っていかなければならないが、体罰問題に対する教育のあり方を考えることと入試問題は別次元であると思う。この一連の橋下市長の発言と行動は異常としか思えない。また大阪市教育委員会の対応の遅さと稚拙さは非難されるべきと思う。

 体罰の問題は多くの識者や元プロ野球選手などが意見を述べているが、私はスポーツを含めあらゆる学びを吸収する際、程度は難しいがある程度の体罰はやむを得ないと思っている。今回の体罰は確かに行き過ぎている面も見受けられる。体育系の強豪高校と知られる高校として、トップレベルを維持していくために指導がエスカレートしてしまったことは否めない事実と思う。このことは学校全体の実態を把握し、時間は多少かけても改善策は見出せるはずだ。

 橋下市長の発言と行動は冷静さを失っている。滋賀県大津市で発生した「いじめ事件」の対応が教育委員会や行政側ともに遅かったとの世間の非難があった。だからと言って早くに解決するために何をやってもよいというものではない。今回の市長の取った行動は教育委員会の独立性を損ない、予算提案権のある市長が補助金削減をちらつかせ、時の首長の思うとおりに教育を牛耳るファッシズム的驚異ですら覚えるものだ。在校生や1ヵ月後に入学選抜試験を受けようとする中学生の心を全く考えていない自分中心の政治屋そのものだ。しかも、この市長の考え方に意を問うなら選挙で落とせばよいとも豪語している。リコール以外では3年も経過してしまうが、その間生徒や桜宮高校の現場の教育はどうなっても良いのか。

 教育委員会も余りにもだらしがなさ過ぎる。今までのいじめや体罰などによる自殺問題に対する教育委員会の対応のあり方など、事案の反省や様々な意見が活かせれていない。さもなくても、市町村から独立した行政委員会でありながら予算の提案権もなく、首長から任命され名誉職的だと揶揄されている現況で、全体の入試中止はかろうじて阻止できたと言いながらも、せめて今回の体育系2科を普通化にする問題も、独立した行政委員会である教育委員会として、教育の専門的立場から断じて市長の要望を受け入れることはできないと判断するべきではなかったのか。このような間違った判断ばかりしているから教育委員会は不要だとの声が高まるばかりである。

 「体育科に魅力を感じて受験したいと思う生徒がほとんど。普通科に回されるのは、私たちは納得がいかない」。「具体的な理由がなく、私たちの声も十分に聞いてくれなかった。思いは1時間で話せるわけがない。『生徒、受験生のことを考えて』と何度も繰り返したが、在校生と受験生のことを考えたらもっと違う結果があったんじゃないか」。「学校を守りたい」。などと、生徒は橋下市長に反論したとの報道があった。更に、橋下市長が教師の全面的異動との発言に対して、女子生徒は「心に負った傷は深く、私たちを支えてくれるのは同じ傷を負った先生しかいない。新しい先生に入れ替えては、亡くなった子の思いを帳消しにしてしまうように感じる」と訴えたという。いや、このような生徒の純真で真摯な訴えを決して無視してはいけない。

 もし、このまま昨日の決定どおりに入学選抜試験が行われた場合、目標を失った受験生や在校生の思いをどうカバーして上げられるのか。桜宮高校だけの問題では済まされない。こういう場当たり的な政策遂行こそが学校不信や政治不信につながると思う。それにしても生徒たちの心情を推察すればするほどやるせない思いで一杯である。平常心をもって今まで通り授業と部活をやってくれといっても難しいだろう。

 体罰の問題、いじめの問題、教育委員会の問題等々については時間をかけて結論を出せばよいが、今回の桜宮高校の体育系の2科の入試中止は、中学生の夢と在校生の将来に大きな負担と問題を残すことになるだけに即刻結論を出さなければならない。。生徒中心の教育を実施させるために全国的な規模で声を上げるべきと思う。それにしても時間がない。